2025年大阪・関西万博のアラブ首長国連邦(UAE)パビリオンで使用されたナツメヤシ由来の資材が、2024年の能登半島地震で被災した石川県輪島市で、コミュニティセンター建設のために再活用
されることが決定しました。本取り組みは、地域の復興支援に貢献するとともに、日本とUAEの協働
関係をさらに深化させるものです。

パビリオンで使用されたナツメヤシの葉は丁寧に回収・加工され、現在はストランドボード(配向性
繊維板)として再生され、コミュニティセンターの壁材としての活用が検討されています。また、ナツメヤシの種子を粉砕し、ヤシ繊維と組み合わせたUAE発の革新的素材「デートクリート(Datecrete)」による舗装ブロックも、本施設の舗装材として活用される予定です。


2025年大阪・関西万博において、ナツメヤシの素材はUAEパビリオンの象徴的な建築要素として採用され、ヤシの葉軸(ラキス)を用いた90本の柱をはじめとする構造に用いられました。これらは、伝統的なエミラティの資源を現代のデザインとエンジニアリングによって再解釈したものであり、その思想は今回、輪島という新たなコミュニティで実用的な形として受け継がれます。


本プロジェクトは、万博終了後もパビリオンのレガシーを社会に還元する取り組みの一環です。2026年初頭には、UAEパビリオンのパーゴラが鳥取県に移設され、地域住民や来訪者のための公共空間として活用されています。
2025年大阪・関西万博UAEパビリオンの政府代表であり、駐日アラブ首長国連邦特命全権大使であるシハブ・アルファヒーム閣下は、次のように述べています。
「本取り組みは、パビリオンの価値を一過性のものにとどめることなく、現実社会の中で新たな役割を持たせるものです。素材やデザインの革新が、時間や場所を越えて新たな意味を持ち続けるという考え方を体現しています。今回、それが輪島の地域コミュニティの支援という形で実現することを大変意義深く感じています。」
さらに同氏は次のように続けています。
「本プロジェクトはまた、日本とUAEの関係性を象徴するものでもあります。両国の協働が具体的な
成果として地域社会に還元されている点に大きな意義があります。これは、日本のUAE大使館と坂茂
建築設計が連携し、能登半島地震の被災者へ住宅2棟を提供した先行事例にも繋がる取り組みです。」
本プロジェクトの設計は現在進行中であり、輪島市のコミュニティセンターは、地域住民の交流拠点としての役割を担うことが期待されています。ナツメヤシ由来のストランドボードなど、パビリオン由来の素材は、機能性と地域ニーズへの適応性を両立させるとして、設計の一部への活用が検討されています。本プロジェクトの設計を手がける、坂茂建築設計のディレクター、原野泰典氏は次のように述べています。
「本プロジェクトでは、異なる背景の中で素材をどのように再活用できるかを探求しています。ナツメヤシ由来のボードは、UAEパビリオンでの素材研究と、地域に根ざした建築をつなぐ役割を果たします。シンプルで柔軟性があり、周囲の環境に自然に溶け込む空間づくりを目指しています。」

2025年大阪・関西万博 UAEパビリオン
2025年大阪・関西万博期間中、UAEパビリオンは延べ500万人以上の来場者を迎え、海外パビリオンの中で最多の来場者数を記録しました。「Earth to Ether(大地から天空へ)」をテーマに、伝統、革新、人間の可能性を結びつけるストーリーを展開し、素材の実験性や文化的対話、人を中心に据えた体験型設計を通じて、UAEのビジョンを発信しました。輪島市におけるコミュニティセンターの建設は、今後数か月以内に着工される予定です。



