国指定重要文化財の史跡「適塾」(大阪市中央区北浜3、TEL 06-6231-1970)で5月29日、特別展示「戊辰(ぼしん)戦争~西南戦争をめぐる適塾関係者たち-軍制と医療から」が始まった。主催は大阪大学適塾記念センター(豊中市)。
適塾は、医師で蘭(らん)学者の緒方洪庵が江戸末期に開いた私塾。同建物では6月10日の洪庵の命日に合わせて毎年、ゆかりの品々や関係資料を一般公開している。
明治維新150年となる今年は、戊辰戦争と西南戦争の2つの内戦にフォーカスし、近代軍制の確立に貢献した大村益次郎や、軍医の養成に携わった緒方惟準(これよし)など、適塾関係者の活動を紹介する。
適塾を研究する大阪大学の松永和浩准教授によると、戊辰戦争での高松凌雲の救護活動、西南戦争での佐野常民の博愛社(日本赤十字社)の設立など、適塾は戦争犠牲者を救済する人材も供給していたという。松永さんは「今年は維新150年だが、歴史の暗部が顧みられることは少ない。今回の展示では戦争の暗部にも光を当てており、戦争と平和の意義について考える機会になれば」と話す。
開館時間は10時~16時。月曜休館。入場料は、一般=260円、高校生・大学生=140円、中学生以下無料。6月10日まで。