大阪・京町堀のIT企業「インパス」(大阪市西区京町堀1)は1月12日、「NPO社会を診る医師団」(中央区備後町1)と共同開発したグラム染色検査用スマートフォン向けアプリ「グラレジ」をリリースした。
感染している細菌がその場でわかるグラム染色検査アプリ「グラレジ」の画面
若手医療従事者を対象とした、「グラム染色検査」を学ぶための同アプリ。グラム染色検査とは、細菌類を色素によって染め、顕微鏡による画像から細菌を分類する方法。15分程度で結果を出すことができるが、「検査技術の訓練が必要で、医療現場で活用されることは少ない。医師が『念のために』と広範囲の抗菌薬を投与することもある」と同NPOに参加する医師の麻岡大裕さん。
昨年5月開催の伊勢志摩サミットにおけるG7首脳宣言でも、医療現場の「薬剤耐性」拡大が課題と明言された。「必要のない抗菌薬を処方しないという取り組みに、グラム染色検査は重要な役割を持つ」とも。
同アプリにより、医療現場で働く研修医は指導医がいなくても、検体の採り方から見方まで学ぶことができ、手軽にグラム染色の結果を判断することができる。判断に迷った場合は、アプリで画像を送信することで遠隔相談にも応じてもらえる。
アプリの開発・デザインを手掛けたインパスの山下一樹さんは、「昨年1月に開催された医療ハッカソンで麻岡医師と出会い、現役の若手医師による医療に対する考えに共感した。これをきっかけに、できるだけ多くの研修医にグラム染色について興味を持ってもらえれば」と呼び掛ける。