大阪・本町の北御堂津村ホール(大阪中央区本町4)で3月12日、「船場フォーラム2016」が開催された。主催は「船場げんきの会」。
「船場の魅力的なまちづくり」をコンセプトに掲げ活動する同会が、2005年から開いている同フォーラム。今年で12回目。
「船場を知りたい」をテーマに据えた今回は、柏木陸照中央区長をはじめ、地元の住民や企業・団体の関係者ら189人が参加した。参加者は女性が全体の41%を占め、昨年の30%に比べて11%増加。地元住民も昨年を上回る人数が来場した。
東日本大震災から5年目の翌日にあたるこの日、同会代表の橋爪紳也さんは開会のあいさつで、過去の歴史・震災・復興が折り重なる被災地の街並みについて触れ、「過去を意識しながら新しい船場を作っていきたい」と呼び掛けた。
会場では、同会のこれまでの取り組みを紹介した後、昔の船場の様子を振り返りながら現在の様子と比較するフォトムービーを上映した。
「船場いまむかしトークショー」と題したプログラムでは、船場を古くから知る地域の店舗経営者らが時代と共に変化してきた街の姿を語ったほか、船場を生活・労働の場とする住民らが、自身の日常と船場の関わりを紹介した上で、タワーマンションの増加をはじめとする地域の構造変化について言及した。参加者からは、「大阪ことばを残したい」との意見や、戦争で消失してしまった南船場の記憶など、テーマに共鳴した発言が積極的に寄せられた。
そのほか、まち歩きイベントのコース提案や、船場に関する資料の募集など、新たな取り組みへの参加も呼び掛けた。最後は、橋爪さんと鳴海邦碩・大阪大学名誉教授が、世界の都市を参考にまちづくりのアイデアを出し合うなどして締めくくった。
今回は、初めての試みとして、船場で活動する地域団体や店舗のPRブースを設置し、資料配布や対話による交流で認知度向上を図った。
以前船場で働いていたという参加者の女性は「船場に愛着を持つ方が多く、いろいろな意見が出て面白かった」と話す。
同会副代表世話人の千葉桂司さんは「昨年の来場者数は約150人。地域住民の参加が増え、実際に船場で暮らす人々の生の声を聞くことができた。若いメンバーによる新しい企画が、多くの参加者の関心を集めたのでは」と振り返る。「今後も『賑わい生活都心』を目指して多くの人たちに向けて発信し、船場の魅力づくりに努めたい」とも。