靭公園近くの和の暮らし道具を取り扱う「hitofushi(ひとふし)」(大阪市西区京町堀1、TEL 06-6225-7675)で現在、「にっぽんの包むカタチ A4折形(おりかた)展」が開催されている。
折形とは、紙を折って物を包む日本伝統の礼儀作法の一つ。江戸時代中期から後期にかけて使われた呼称で、現在では折り紙と呼ばれている紙の折り方や折った紙そのものを指す。折り鶴などの遊戯折り紙と分けて、祝儀袋などの儀礼折り紙や実用折り紙を「折形」と呼ぶようになった。
「A4折形」は、大阪のデザイナー乾陽亮さんが中心となって、伝統の「折形」を現代の暮らしの中で気軽に楽しもうと興したプロジェクト。ウェブサイトで柄を選び、家庭用のプリンターでA4用紙に印刷し、順に沿って折ることで祝い袋やぽち袋を作ることができる。
「日本の伝統を現代版にアップデートするとどうなるか、という事例として折形を取り上げた」と乾さん。同プロジェクトを進めるうちに出会った、和紙の製造・販売を手掛けるオオウエ(天王寺区)の大上博行さんと、素材にこだわりながらもインクジェットプリンターで印刷できる丈夫な和紙を選んだ。その後、2年間で10回以上の折形のワークショップを開催。
初日の12日に開かれたワークショップには、午前と午後の2回で合わせて16人が参加した。折形の歴史を学んだ後、実際にA4サイズの和紙に印刷された図案を使ってぽち袋を制作。参加者はそれぞれ折り方をアレンジするなどして伝統の折形を楽しんだ。
乾さんは「昭和初期まで、折形は礼儀作法として女学校で教えられていた。現在、柄を自由に選んですぐに入手できる通信技術と印刷技術が家庭にも普及している。かつての伝統を、日々の暮らしの中で気軽に取り入れてもらえれば」と話す。「和紙は使ってこその魅力がある。ただ手元に置いておくのではなく、包みたい思いや物に添える使い方をしてもらいたい」と大上さん。
期間中、ワークショップでも使った和紙15枚セット(1,200円)、ぽち袋作成キット(無地和紙3枚、印刷済みの図柄1枚、店頭での折形レクチャー込み=1,000円)を販売している。
開催時間は11時~19時(最終日は18時まで)。日曜定休。4月19日まで。