
船場センタービル(大阪府大阪市中央区船場中央2)が3月12日、オープン55周年を迎えた。
同ビルは地下2階、地上4階建ての商業ビル。東西約1キロメートルにわたり、堺筋方面から御堂筋方面に向かって1号館~10号館が立つ。ビルの屋上には阪神高速道路と市道・築港深江線(中央大通)の高架が走る。地下では大阪メトロの地下鉄3路線が交差し、本町駅・堺筋本町駅がビルに直結する。
ビル建設前の同地域は、丼池地区を中心に繊維業などの卸問屋が密集していたという。戦後はモータリゼーションの進展とともに付近の交通状態が悪化。市内に東西の幹線道路が少なく道路建設の必要性が高まったことや、区画整理の要請などを背景に、船場地区の再開発計画が浮上した。構想が進む中、1970(昭和45)年の大阪万博開催が決定。再開発計画は万博関連事業として採択された。
当時、大阪市内の卸売業は新大阪や箕面などへ移転するケースが多かったことから、建設用地に建つ問屋は郊外への移転も検討されたが、土地に対する愛着などを理由に反対意見が多かったという。一方で大阪中心部で地価が高額なため移転補償問題も難航。 検討の結果、移転先として入居する建物と道路が一体となったビル建設が決定した。当時は過密化した都心再開発の新しい解決策として、全国から注目を浴びたという。
同ビルは現在、アパレル関係の卸売・小売業者のほか、雑貨店、飲食店や事務所など800の店舗が入居する。同ビルを管理する大阪市開発公社の桑原直人さんは「お客さまの年齢層は60代以上が多く、親子でゆっくり買い物を楽しむ光景もよく見かける」と話す。「最近は海外からのお客さまも多いので、多言語対応やデジタル化なども課題。ビルの良さを残しながら時代の変化に対応し、今後も発展を続けられたら」とも。