大阪本町に拠点を置くギャラクシーエージェンシーの空きスペースと空き時間を活用したパーキングシェアサービス「あきっぱ」が、多数のメディアで取り上げられるなど話題になっている。
全国の空いている月極駐車場や個人駐車場を一時利用できる同サービス。12月3日から4日にわたり開かれた「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット 2014 Fall Kyoto(IVS)」のプレゼンバトル「Launch Pad」では、13社がプロダクトを披露する中、優勝を果たした。
4月25日にサービスをリリースしてから約7カ月。リリース時、既に3万台以上の駐車スペースを確保しており、現在では4万台を越え順調に伸びているという。サービスの有料利用者数は10月に前月の約2倍となり、現在も増え続けている。
社長の金谷さんは「リリースしてから周りの見る目が一気に変わり、会社の認知度もかなり上がった。多方面から良いサービスだという反響があった」と話す。「新しいサービスには、単純に面白いサービスと本当に使いたい思えるサービスと2種類存在していると考えている。『あきっぱ』は後者で、本当に使いたいと思ってもらえる、かつ今の社会に必要とされるサービスだからこそ、話題になっていると感じている。何もなかったところから価値を生み出すという新しいビジネスモデルが話題の理由ではないか」とも。
同サービスは、社内の壁に貼った1枚の模造紙から誕生したという。社員が悩み事などを自由に書き込めるよう設けた紙には「駐車スペースがなくて困っている」「実家の駐車スペースが余っている」といった駐車場に関する意見が書き込まれ、幹部がそれに目を付けたことから始まった。
市場規模の大きさや、路上駐車によって起こる事故の多さといった社会的問題の大きさを考慮するほか、駐車場問題は世界共通であるため、世界に打って出ることのできるサービスであると考えたという。
金谷さんは、同サービスの強みを「『Airbnb(エアビーエンビー)』や『Uber(ウーバー)』といった、先に世に出ていた競合するサービスを知らずに開発したところ」だと話す。「知らなかったことで、全く何もない状態の0から1の部分を自分たちで作り上げることができた。もし、『Airbnb』を知っていたら、サービスの認知度を広げて、ネット上で空き部屋を募集し部屋数を広げていった『Airbnb』と同じようなプロセスの真似をして、ネット上で空き駐車スペースを募集し、確保しようとしていたかもしれない。しかし、駐車場を持っている人のネットリテラシーが高くない可能性の大きさを考えると、最初の段階で駐車スペースが集まらなかっただろう。一方今回のサービスを始めようと最初、駐車場スペースを集めていた時は、もともとギャラクシーエージェンシーが営業会社であり、テレアポ営業を得意とする社員の多さを生かして、テレアポ営業で3万台分のスペースを集めることができた。テレアポによる営業なしではスペースが集まらず、ここまでは伸びていなかった、サービスも始められなかっただろう」と振り返る。
今後は駐車場のポータル構想を描いているという。「同サービスに新しい機能をつけていくことはもちろん、自分たちだけではカバーできないところは、ほかのサービスや駐車サービスとも連携を取りながらとにかく便利にしていきたい」とも。
金谷さんは「駐車場サービスで世界を狙っており、来年からアジアを足がかりに仕掛けていく。大阪というと、新しいモノ・サービスが東京に比べると生まれにくいと言われている分、新しいモノを生み出すと目立つことを実感している。『あきっぱ』というサービスを広め、新しい大阪企業の戦い方を切り開いていきたい」と意気込みを見せる。