プレスリリース

<「Co-Design Challenge Pitch #2」イベントレポート>「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」――これからの日本のくらしをつくる22の挑戦――

リリース発行企業:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

情報提供:

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(大阪市住之江区 事務総長:石毛博行)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」 を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現する「Co-Design Challenge」プログラム(以下、「CDC」)を2022年から展開しています。第1弾(CDC2023)では、社会課題の解決をめざすプロダクトの開発を実施。第2弾(CDC2024)では、その開発に加え、地域誘客を目的とした生産現場の公開やものづくり体験、オープンファクトリーにも取り組んでいます。

第2回目の開催となる「Co-Design Challenge Pitch #2 ― デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる これからの日本のくらしをつくる22の挑戦 ―」が、6月17日(火)、万博会場内のフューチャーライフヴィレッジ(以下「FLV」)にて実施されました。本イベントでは、CDCに参加する事業者が、社会課題の解決に向けたアプローチや、プロダクトに込めた想い、そして未来へのビジョンを語りました。

ナビゲーターには、アドバイザーとしてCDCに参画された服部滋樹氏と内田友紀氏を迎え、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社、株式会社金森合金、甲子化学工業株式会社の3事業者が登壇。それぞれが直面する社会課題や、それに応えるために開発したプロダクト、さらに万博終了後を見据えた展望について発表しました。
  
Co-Design Challenge Pitchは全5回の開催を予定しており、次回(第3回)は7月29日(火)に実施予定です。





“これからのくらし”をデザインするとは?服部氏・内田氏が語る、CDCに込めた想い

ナビゲーターの服部氏が冒頭で「CDCの取り組みは、万博を契機に様々な人たちの共創により、未来社会の実験場として始まりました。中小企業の人たちが参加できる枠を設けて、クリエイターと一緒に社会実験を行うことをコンセプトとしてやってきました」と説明し、もう一人のナビゲーターである内田氏は「社会にとってデザインとは?」という問題提起から、「新たなモノづくりの場では、横断的な取り組みが必要でないでしょうか」と取り組みの意義も強調しました。

協会の担当者からはCDCのこれまでの取り組みとして、2023年は共創でプロダクトを製作し、2024年には要件に「地域への誘客に取り組むこと」を新たに加え、プロジェクトを進めてきたと紹介しました。





エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社

トップバッターとして登壇したのは、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 経営企画グループ サステナビリティ推進室 マネージャーの島本礼子氏です。

プロダクトは「想うベンチ」。「樹のためのデザイン」をコンセプトに、大阪府内の材木を使い、製材所と3人のデザイナーとともに作り上げました。会場内の「静けさの森」に設置されています。

デザイナーたちは制作前に大阪の森を訪れ、競り市にも参加。そこでデザイナーたちが感じ取った命の存在感は「木も生き物なんだ」ということ。その想いをそれぞれ3つのテーマ「1本の『樹』をありのままに」「均一ではない木材に新たな可能性を」「樹の経過に思いを馳せる」に込めて、ベンチで表現しました。

同社は以前から「大阪 森の循環促進プロジェクト」に取り組んできました。「森を引き継いでいくために、今の私たちにできることは何かを考えたかった」とCDCへの応募の動機を話す島本氏は、「だからこそ万博以降も大事なんです」と力を込めました。万博で使われたベンチは大阪府内の共有地に設置される予定で、ウェブサイトで今後も積極的に情報発信をしていくと話しました。「次の百年のために、もっと木や森に関心を持ってもらいたい」同社の取り組みは続きます。





株式会社金森合金

続いて、石川県金沢市の株式会社金森合金の24代目、高下裕子氏が登壇しました。同社は1714年に創業し、300年以上にわたって伝統的な砂型鋳造技術を継承してきました。これまで取り組んできたのは循環型のものづくり。例えば新聞印刷時に使用されたアルミ板を800度の高温で溶解し、不純物を除去して高純度アルミニウムを生成。新たな製品へと生まれ変わらせるというものです。

CDCについては、当初は地元の金属廃材の利用を考えていましたが、24年1月1日に発生した能登半島地震によって災害廃材の活用に方針を切り替えました。最終的に輪島市の朝市通りの倒壊住宅から回収されたアルミサッシにたどり着きました。災害廃材から製作し、会場内に設置されているサインスタンドには「万博会場での案内役」と「記憶・刻印」の二つの意味が込められており、高下氏は「記憶は紡がれ、人の記憶を呼び起こす変化の象徴となるような製品」と当時を振り返りながら話しました。

鋳造は過酷な現場でありながら、会社勤めをやめ、自ら家業に飛び込んだ高下氏。新たな感性を現場に生かして廃棄アルミ缶をリサイクルし、ホテルで使うモダンなテーブルウェアや菓子切りに活用するという道を切り開いています。

鋳物工場内で職人と一緒に800度で溶解、精錬したアルミ合金を流しこむ砂型鋳造が体験できる企画も構えており、「エンターテインメントとして楽しんでほしい」と、金沢の地への来訪を呼びかけました。





甲子化学工業株式会社

最後の登壇者は、甲子化学工業株式会社 企画開発部部長の南原徹也氏。ホタテ貝の貝殻をアップサイクルしたヘルメット「ホタメット」と、その反響を受けて大手ゼネコンと共同開発したベンチ「ホタベンチ」について説明しました。

大阪府東大阪市に工場を持つ同社は、プラスチック素材を使ったオフィス家具を製造してきましたが、脱プラスチックの動きもあり、情報収集の中でたどりついたのがホタテの貝殻でした。

ホタテは食べられる貝柱の部分が17%しかなく貝殻が51%を占めます。その貝殻が、全国では毎年10万~20万トンも廃棄されています。これをエコ素材化できないかと考えた南原氏は、日本有数のホタテ水揚げ量を誇る、北海道猿払村に足を運び、貝殻を1枚ずつ回収、洗浄しパウダー化。プラスチックと混ぜ込み、製品化した第1号が「ホタメット」です。





表面には凹凸加工もあり、「ホタテに似せたヘルメットという分かりやすさ」が、人気を呼びました。予想外の反響から2023年には大手建設会社からの依頼で、パウダー状にした貝殻とセメントを混ぜ込んで作りだしたのが「ホタベンチ」です。「CDCがなければ生まれていなかった製品」と万博による効用と話します。

建設用の3Dプリンターで制作したベンチは、あえて3Dプリンターで仕上げた模様を残した印象的な製品です。セメントに混ぜ込む貝殻は数千トンにも上り一気に処理が進む上に、良質な砂不足に悩む建設現場にも朗報となります。貝殻を集める産地も北海道から青森などにも広がっています。南原氏は、「さらに大量の貝殻を使うプロジェクトも進めており、CDCからスタートした事業は大きな実を結びつつあります。」と話します。

また「ホタテ貝柱のはじまりを見に行こう―特別なサステナブルツアー」と題して、北海道の猿払村を訪れる体験ツアーも企画。ホタテ採りに出航する船を見送り、採れたてのホタテを味わい、貝殻の山に登るという多彩なツアーで地域を応援します。





服部氏と内田氏、3事業者が挑戦を終えて語る“共創が拓く未来“

最後のパートにはナビゲーターに加え3事業者が登壇し、クロストークを繰り広げました。島本氏は「今回の取り組みは当社だけではできなかった。CDCだからチャレンジでき、万博のその先に繋がる取り組みになった。小売業としてこれからも伝えていきたい」と手応えを感じていました。高下氏が「ものづくりの現場を訪ねて、“びっくり感”を感じてほしい。災害廃材も精錬すると新たな使い道がある。その変化が楽しい」と現場な
らではの実体験を語ると、南原氏は「万博の旗印のもと、当社メンバーの16人に多くの協力者が集まり、後押ししてくれた」と感謝の気持ちを述べました。





内田氏は「皆さん自身の変化を目の当たりに感じる。モノづくりの魅力と未来の姿を見せてもらった。生き様を発信し、みんなを巻き込んでいってほしい」と期待を話し、服部氏は「作るは語るということ。今日はたくさんのヒントがあった。ヒントを得て、どう考えるか。未来への解像度が一気に上がった」とまとめました。

「CDCのその先へ!」と声をそろえ最後を締めくくった3事業者に会場から大きな拍手が送られ、第2回Co-Design Challenge Pitchは終了しました。

第2回登壇者の紹介

■ナビゲーター
服部滋樹
graf 代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。1993年から活動を始め、異業種が集まる環境と特性を生かした新たな活動領域を開拓している。grafでは代表を務めるほか、コンセプターとしてデザインやディレクションを行い、あらゆるデザイン領域の視点から社会を翻訳するようなアウトプットを行う。

内田友紀
早稲田大学で建築を学び、イタリア・フェラーラ大学院にてSustainable City Designを修め、ヨーロッパ・南米・東南アジアなどで地域計画プロジェクトに参画。株式会社リ・パブリックの創業に加わり、2020年より都市・地域のリサーチ・デザインスタジオFuturamaを並行して活動。
■事業者
エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社(大阪府大阪市)
想うベンチ ー いのちの循環 ー

株式会社金森合金(石川県金沢市)
これからの「サインスタンド」をデザインする~災害廃材を活用した循環型ものづくり~

甲子化学工業株式会社(大阪府大阪市)
2023年度:ごみから作るサステナブルなヘルメット
2024年度:ホタテの廃棄貝殻から生まれたベンチ「HOTABENCH | ホタベンチ」

※登壇事業者の詳細は以下の別紙をご参照ください。
d154689-7-f04bea333e409bc48c6c524be7c58835.pdf

<7月29日(火) 開催> Co-Design Challenge Pitch #3 について  

次回は7月29日(火)に開催いたします。ナビゲーターには、齋藤精一氏と山出淳也氏を招き、登壇事業者にエースジャパン株式会社・テラサイクルジャパン合同会社・旭川家具工業協同組合・株式会社折兼・一般社団法人Design Week Kyoto 実行委員会 を予定しております。是非、「Co-Design Challenge Pitch #3」にもお越し下さい。





■日時      2025年7月29日(火)開演:13時30分 終演:16時
■場所      大阪・関西万博 フューチャーライフヴィレッジTEステージ棟
■ナビゲーター 齋藤精一氏 山出淳也氏


齋藤精一 EXPO共創プログラムディレクターExpo Outcome Design Committee(EODC)代表。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。パノラマティクス主宰。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。2006年(株)ライゾマティクス(現:(株)アブストラクトエンジン)を設立。社内アーキテクチャー部門『パノラマティクス』を率い、行政や企業などの企画、実装アドバイザーも数多く行う。2023年よりグッドデザイン賞審査委員長。





山出淳也アーティスト/Yamaide Art Office株式会社 代表取締役/BEPPU PROJECTファウンダー。文化庁在外研修員としてパリに滞在(2002~04年)し、2005年にBEPPU PROJECTを設立。2022年3月、BEPPU PROJECTの代表を退任し、Yamaide Art Office株式会社を設立。



■登壇事業者 エースジャパン株式会社
       テラサイクルジャパン合同会社
       旭川家具工業協同組合
       株式会社折兼
       一般社団法人Design Week Kyoto 実行委員会
■主催    公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
■公式サイト https://www.expo2025.or.jp/co-creation-index/co-design-challenge/



※万博会場への入場には 大阪・関西万博のチケットが必要です。
 大阪・関西万博 チケットインフォメーション | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト
 https://www.expo2025.or.jp/tickets-index/
 本イベント自体への参加は無料です。(予約不要・入退場自由)

<7月29日(火) 開催>  Co-Design Challenge Pitch #3 登壇事業者




これからの「未利用間伐材を活用したベンチ」代表企業・団体:エースジャパン株式会社(京都府相楽郡)
協力企業・団体:ダブルクラッチ株式会社,株式会社Fortmarei
国内の森林地における間伐処理等で出てくる、これまで使われずに捨てられることの多かった枝や葉、樹皮等を活用したオリジナルベンチを提案します。
紹介動画:https://youtu.be/f0qX5UnEK8M





これからのごみ箱(資源回収箱)をデザインする代表企業・団体:テラサイクルジャパン合同会社(神奈川県横浜市)
協力企業・団体:イオン株式会社、P&Gジャパン合同会社
日本全国で広く利用されている小売店の店舗で日用品のプラスチック空き容器を回収し、それを再利用して、大阪・関西万博の会場内に設置する資源回収のためのごみ箱にマテリアルリサイクルします。
紹介動画:https://youtu.be/jqMNtCCvrtc





WOOD&DESIGN ~「森と木とデザイン」を主軸に、「椅子」製作を通じた地域の課題解決~代表企業・団体:旭川家具工業協同組合(北海道旭川市)
協力企業・団体:株式会社カンディハウス
大阪・関西万博への「椅子」の協賛を通じて、地域の家具産業の発展と品質向上を目指しています。また、20箇所のオープンファクトリーやものづくりの現場を知るバスツアー、木工体験ワークショップ、地域材を活用した家具製作体験を実施します。
紹介動画:https://youtu.be/AQZQuux5J94





未利用木竹材を活用した森林・地域を元気にするごみ箱代表企業・団体:株式会社折兼(愛知県名古屋市)
協力企業・団体:株式会社エイト日本技術開発、株式会社テラモト、株式会社那賀ウッド、パナソニックプロダクションエンジニアリング株式会社、株式会社JTB
ごみや資源の有効活用を考えるきっかけになればという思いを込め、未利用木材から作った木粉を使用しごみ箱を制作。また、木粉工場見学や「森林まるごと体験ツアー」を通じ、地域の魅力を伝えることを目指します。
紹介動画:https://youtu.be/TRM83WWDwQ4¥¥¥





作り手と使い手が共創し、思い出が持続するスツール代表企業・団体:一般社団法人Design Week Kyoto 実行委員会(京都府京都市)
協力企業・団体:有限会社三葉商事、株式会社溝川
資源の循環を理念に愛着を持って使ってほしいと、災害廃材と残布を使い刺繍を施したスツールを提供します。また、スツールを構成する木部やクッション部分を製作する工場の現場の訪問・各地域の自然、風土、文化遺産を巡る体験等を実施します。
紹介動画:https://youtu.be/qOyhExGCLjk





今後の予定

第3回 7月29日  ナビゲーター:齋藤精一氏 山出淳也氏
登壇事業者    エースジャパン株式会社
         テラサイクルジャパン合同会社
         旭川家具工業協同組合
         株式会社折兼
        一般社団法人Design Week Kyoto 実行委員会

第4回 9月4日   ナビゲーター:小西利行氏 倉本仁氏
第5回 9月22日 ナビゲーター:齋藤精一氏

※4回目以降の登壇事業者は、現在調整中となります。

「Co-Design Challenge」プログラムとは

Co-Design Challengeプログラムは、大阪・関西万博を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」 を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現するプロジェクトです。

万博という機会を活用し、プロダクトやサービスを新たに開発することを通じて、現在の社会課題の解決や万博が目指す未来社会の実現を進めます。

Co-Design Challengeプログラムは、当協会が設置したデザイン視点から大阪・関西万博で実装すべき未来社会の姿を検討する委員会「Expo Outcome Design Committee」監修のもと生まれたプログラムです。

本プログラムは、計2回、募集を行いました。第1弾募集(Co-Design Challenge 2023)はモノの開発、第2弾募集(Co-Design Challenge 2024)は、モノの開発に加え、新たに「地域誘客」の観点でそれらのモノが作られた「日本全国それぞれの土地」の生産現場や工房を公開し、来訪者にものづくりを体感してもらう取組(オープンファクトリー)を募集。

4月13日に開幕した大阪・関西万博の会場に22のプロジェクトを通じて制作されたプロダクトが実装され、実際に来場者が触れることができます。さらに本イベント「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」では、その背景にある社会課題へのアプローチや、プロジェクトに込めた想い、未来へのビジョンについて、事業者自らの言葉で語り合う場を設けました。

また、フューチャーライフヴィレッジ内に、CDCを紹介する2台の展示台を設置しています。設置は万博閉幕までを予定しています(※一時展示を行っていない場合もございます)。

CDCではこれらの取組を通じて、万博が目指す未来社会の実現を進めます。

2025年大阪・関西万博

4月13日から10月13日まで開催中の2025年大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げています。「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」という3つのサブテーマのもと、世界各国が多様な提案を行い、未来社会に向けた取り組みが進められています。人工知能=AI、エネルギー、交通、都市開発などの分野における最新技術やアイデアが披露され、すべての人にとって持続可能な社会を、というコンセプトを中心に据えています。

また、大阪・夢洲からすべての人にとってよりよい未来を創造するための文化的理解と多様性の重要性を世界に発信し続けています。





体験企画 詳細情報




※1:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/715881/
※2:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/732220/
※3:https://www.expo2025travel.jp/top/detail/bokun/815909/

大阪・関西万博会場 設置予定場所



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