大阪・北浜の「適塾」(大阪市中央区北浜3、TEL 06-6231-1970)で5月31日、特別展示「洪庵・惟準から伝わる緒方家の至宝」が始まる。主催は大阪大学適塾記念センター(豊中市)。
国の重要文化財に指定されている適塾は、医師で蘭学者の緒方洪庵が江戸末期に開いた私塾。同建物では6月10日の洪庵の命日に合わせ毎年この時期に、ゆかりの資料を期間限定で公開している。
今回の展示では、今年1月に洪庵の玄孫(やしゃご)にあたる故・緒方惟之(これゆき)さんから寄贈された資料を中心に、11点を公開する。「名利を顧みず」など医師の心得を記した「扶氏医戒之略(ふしいかいのりゃく)」や、天然痘ワクチン接種普及の苦難を記した「除痘館記録」は、洪庵自筆の貴重な資料で、一般に公開するのは36年ぶりという。
江戸時代の大阪商人の町屋遺構としても有名な同塾は、NHK朝ドラ「あさが来た」の関連史跡としても注目を集め、これまで月に1500人ほどだった来訪者が、放送開始以降、多い月では2500人を超えたという。
大阪大学適塾記念センター准教授の松永和浩さんは「緒方家に代々伝わる貴重な資料から厳選して展示する。これらの資料とともに、医師の倫理感も現代に引き継がれてきたのでは。洪庵の思いを感じてもらえれば」と呼び掛ける。
入場料は、一般=260円、高校生・大学生=140円、中学生以下無料。
開館時間は10時~16時。月曜休館(ただし月曜が祝日の場合は翌日休館)。6月12日まで。