大阪・肥後橋の大同生命大阪本社(大阪市西区江戸堀1、TEL 06-6447-6111)2階のメモリアルホールで現在、特別展「加島屋と広岡浅子」が開催されている。今秋に放送が始まるNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」のモデルとなった広岡浅子に関する貴重な資料を展示しており、注目を集めている。
2012年から創業110周年記念特別展示として、同社の源流である豪商「加島屋」に関する資料を公開。2年目からは展示内容を増やし、4年目となる今年は創業者でもあり次回朝ドラのモデルとなった大阪の女性実業家、広岡浅子に関する資料も数多く展示している。
加島屋は、世界最先端の金融市場ともいわれた堂島米会所と大名貸しを中心としたビジネスで、江戸時代に大阪屈指の豪商として名をはせた両替商。同社所有の貴重な資料は、大阪大学経済史経営史研究室で調査・研究が進められている。展示中の勘定目録(財務諸表)からは、大名貸しの利子収入が加島屋の収入の大きな柱であったということが読み取れる。中には、維新の動乱でほごになったであろう新撰組の借用書も。
前年よりも「広岡浅子」に関する展示を増やした。広岡浅子は京都の豪商・三井家から広岡家に嫁ぎ、明治維新の混乱の中、獅子奮迅の働きで加島屋の危機を助けた。炭鉱事業にも乗り出し、護身用のピストルを懐に自ら炭鉱に入ったという。女子教育にも携わり、日本女子大学校の創立に尽力。同大創設者の成瀬仁蔵に宛てた直筆の書簡も展示する。
生命保険業へも進出した広岡浅子の、「社会の救済」「人々の生活の安定」という理念は今でも同社に受け継がれている。展示会場となるメモリアルホールは、広岡浅子と交流があったウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した同社旧肥後橋本社ビルの内外装の一部を用い、当時の様子を復元再生したもの。
来場者からは「朝ドラの予習に来たが、想像以上の広岡浅子の人物像に驚き感動した」「近代日本の女性の地位向上に大きく寄与した人物が大阪から出ていたことを誇りに思う」などの感想が寄せられているという。中には年々増える展示物を楽しみに毎年訪れる人や、遠く九州や北海道から訪れる人も。
同社大阪広報担当部長の塚田晴久さんは「この展示で大阪が元気だった時代を広く紹介したい」と話す。秋からのドラマについては「多くの人にドラマを通して浅子さんと大同生命を知ってもらいたい。浅子さんを格好良く描いてもらえれば」と期待を寄せる。
開館時間は10時~19時(土曜・日曜・祝日は16時まで)。入館無料。2016年3月31日まで(延長の可能性あり)。