大阪の老舗料亭「花外楼」(大阪市中央区北浜1、TEL 06-6231-7214)が4月10日、リニューアル工事を終えて営業を再開した。1830(天保元)年の創業から、4代目の建物となる。
加賀出身の伊助が開いた料理旅館「加賀伊」を起源としている同店。1875(明治8)年には、大久保利通、木戸孝允、板垣退助、伊藤博文、井上馨らが会談した「大阪会議」が行われ、その成功を喜んだ木戸が「花外楼」と改名を提案し、自ら看板を揮毫(きごう)したという。互いに決裂していた者たちが平和的にまとまり、明治維新の礎を築いた場として縁起が良いとされ、企業の接待や祝い事の場として重宝されてきた。同店入り口には「大阪会議 開催の地」の石碑が立つ。
以前の建物は贅(ぜい)を尽くした造りだったが、新店舗はシンプルで飽きのこないものにしたという。土佐堀川沿いの立地を生かした川側は全面ガラス張りで、景観を楽しむことができ、室内には明るい光が差し込む。1階はロビーで、2階に40畳の「雪の間」、15畳の「月の間」、7畳半の「花の間」、15畳の「福の間」、掘りごたつ付き10畳の「寿の間」の全5室がある。客のニーズによって、「雪月花」「福寿」で1組あるいは2組の団体客に対応するなど、老舗料亭ならではのきめ細かいサービスを提供する。
会席メニューは、「緑」(昼のみ、1万5,000円)、「泉」(昼のみ、2万円)、「風」(2万5,000円)、「空」(3万円)、「星」(3万5,000円)。別途、消費税およびサービス料15%が加算される。
同店おかみの徳光正子さんは「実直で誠実な伊助が維新の人々の信頼を得たように、創業者の原点の思いに立ち戻りたい。顔合わせや還暦など、人生の特別な時に心を込めたおもてなしをしたい」と話す。
リニューアルに際して毎月、イベント「クレマチス」を開催。一般の人には敷居が高いと考えられている料亭内を見学し、割安な価格で昼食を楽しめる。詳細は同店ホームページで案内する。
営業時間は、11時~15時、17時~22時(2日前までに予約が必要)。日曜、祝日定休(休日営業は応相談)。