ヤフージャパンがオフィス移転に伴って開設したことでも話題の「コワーキングスペース」。都心や地方都市の中心部を中心に、ここ数年で急速に数を増やしています。
一般的にコワーキング(Coworking)スペースとは、主にオフィスを持たず在宅で仕事をする起業家やフリーランサーが利用する「共働ワークスペース」のこと。シェアオフィスと比較されることが多いのですが、違いとしては「壁や仕切りの少ないオープンスペース」であることが多いようです。また、単なる仕事場所の提供だけでなく、「利用者同士のコミュニケーションをはかる目的でイベントを企画する」という傾向が強いのも、コワーキングスペースの特徴と言えます。
御堂筋線本町駅の近くにある「Osakan space(オオサカンスペース)」(大阪市中央区備後町3)も、起業家やフリーランサーが集まるコワーキングスペースのひとつです。「コワーキングスペースってどんな場所?」「どんな人が利用してるの?」そんな素朴な疑問を解決するべく、ビジター(一時)利用してみることにしました。
まずは利用方法や料金を確認してみました。オオサカンスペースのウェブサイトを見ると、どうやらビジター利用には前日までの予約がいるようです。
ビジター利用できるのは、平日の10時から18時の間。一度利用の受付をした後は自由に出入りできるそうなので、朝から利用して途中でランチに行くことも可能ですね。
名前や連絡先、入室日時を記入して送信。あとは予約した日時に行くだけです。本人確認書類が必要とのことなので、運転免許証など忘れずに持って行きましょう。
オオサカンスペースがあるのは、御堂筋線本町駅からすぐの「大雅ビル」10階。御堂筋を挟んで向かいに北御堂があるので、すぐに見つかりますね。
本町駅の1番出口を出て右側の御堂筋を北上すると「auショップ 本町」が見えました。同じビルの10階にオオサカンスペースがあります。
ビルには2台のエレベーター。オオサカンスペースの案内がある方のボタンで呼びます。10階まで行くのは右側の1台だけのようですね。
入口にあるベルを鳴らすと、スタッフの方が出迎えてくれました。
メンバーになると、あらかじめ登録した指紋で出入りするようです。スタッフが不在のときも利用でき、カードキーなど紛失の恐れもないので安心ですね。
まずは、オオサカンスペースの利用方法など説明を受けます。メンバー登録を検討する場合は、プランやメンバー専用サービスの詳しい説明も受けられますので、気になる方はぜひ聞いてみてください。
利用料2,000円を支払い、本人確認書類を提示して、さっそくビジター利用スタートです。
オオサカンスペースは、ビジターとメンバーが同じエリアを使用します。席数はおよそ40席で、固定席はなく、メンバーも気分によって好きな席で仕事をしているそうです。電源やWi-Fiは全席で利用できます。
ドリンクはどの席でも飲めますが、食事はフロア中心の「ダイニングエリア」に限定されています。そうすることで、昼食時やおやつ休憩をとる時に自然と会話が生まれるとか。さり気ない決まりが、コミュニティー育成につながっているんですね。
コーヒーマシンや冷蔵庫にあるドリンクは、ビジターでも購入できます。豆を挽いて淹れるタイプのコーヒーマシンがあり、淹れるたびにコーヒーのいい香りが。
コピー(1枚10円)やスキャンができる複合機も使えます。
ビジターとして利用してみると、メンバー同士のやりとりを見ることができました。
あるところでは仕事の打ち合わせをしていたり、あるところではコーヒーを飲みながら談笑したり。「仕事場を共有する」ということで、それぞれが黙々と仕事をするイメージがありましたが、それ以外の面も多く見られました。
メンバーの方に「オオサカンスペースに来たきっかけ」を聞いてみました。「在宅で仕事をしていたが、相談相手がおらず不安だった」「自宅やカフェだと集中できない」「起業準備のために作業できる場所がほしい」「いろんな業種の人と交流がしたい」など、理由は多種多様。起業家やフリーランサーだけでなく、「副業したい」「資格の勉強がしたい」という会社員の利用もあるようです。
メンバー同士で会話する様子から、「すでにコミュニティーができあがっているため、仲に加わりにくいのでは?」という印象も受けましたが、中には「まだメンバー登録してから日が浅い」という人も。聞くと、夜ご飯を持ち寄ってみんなで食べるイベントや、デザインやライティングなどのセミナー・勉強会が定期的に開催されるため、メンバー同士がつながるきっかけになっているそうです。
時間や場所に縛られず、自由な環境で仕事をしたいと思う反面、同じ環境に身を置く人とつながりたい。そんな人たちが集まり、自然とコミュニケーションが生まれるよう仕組み化されている「オオサカンスペース」。単なる「共働ワークスペース」としてのコワーキングスペースとしては、説明が足りないといわざるを得ません。